運命の果てまで

テイルズ(V/G/A/S-R/D)・FF・Dグレなど、ゲームやマンガに好き勝手萌える腐ログ

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ゆっくり、ゆっくり

続きは先日SSのユーリ視点ver
中学生の恋愛のような関係で笑える。


 
 予定よりも遅くなったが、夕焼けの中に沈むように映る街を目指しながら、それでも歩調を速めることはしなかった。
 当初の予定よりは遅いが、別行動をしている皆との集合時間まではまだずいぶんと余裕がある。一番遠くへ出かけたジュディは、早くてもあと数時間は戻ってこれないはずだ。エステルとリタにしても、目的地の近くの街には品ぞろえの豊富な本屋があると言っていたから、早く戻ってくることはないだろう。
 汗をかいた身体を流したいとは思うも、急いで街まで戻らなければならないという状況でもない。たまにはのんびり歩いていても問題ないだろう。ここのところ忙しく動いていたから、こんな時間も悪くはない。
 そう荷物を背負い直して自分に呟く。
 ――って、言い訳くせぇなぁ
 別に誰かに咎められたわけでもないのに、現在の状況に対する弁解めいた思考がぐるぐると回っていることに、溜息代わりの苦笑を洩らした。
 だがそんな苦笑は、すぐ後ろから聞こえてきた声にかき消された。
「ふひぃ?疲れたわ?」
「……。ほら、さっさと歩けよ」
 もう駄目歩けないと、今にも地面に座り込みそうな声に、今度ははっきりと笑いを浮かべて言葉を返す。
 振り返ればユーリの後ろ、やや下方向に、頭の後ろでざっくりと束ねられた髪の毛が、ひょこひょこと力なく揺れ動いていた。
 その下でぐったりと肩を落として力なさげに歩く様子は、とてもじゃないが騎士団の隊長の姿とは思えない。これで実際はユーリよりも筋肉の付きもいいし、剣を交えれば力負けすることもある相手だとは思えなかった。
 閉店まで粘っていて酒場を追い出された飲んだくれオヤジ、と説明する方がしっくりするぐらいだ。
 置いていくぞと言えば幾分歩みに力を入れたようだったが、すぐさま元通りの速度とおぼつかなさに戻る。重い荷物はユーリが持っているし、今日の戦闘でもそれほどこき使わなかったというのに随分な疲労具合だ。
 少しだけと、ゾフェルにも立ち寄ったのがまずかったのかもしれない。
 このおっさんは砂漠の暑さは平気なくせに、少しでも寒いと機能が九割以上も低下するという、困った仕様を持っているのだから。
 右へ左へふらふらとする歩みに歩調を合わせる。
 レイヴンの二歩半前を歩けば、夕日に照らされて長く延びた二つの影が、同じ場所まで延びていた。項垂れて後ろを歩くレイヴンの影の先と、前を歩くユーリの影の先が、同じ場所を指している。
 地面の上で並んだ頭。
 ふらふらと揺れる頭に寄り添う自分の影。
 離れた距離で、けれど重なり合う二つの影。
 子供の遊びのようなくだらなさだとは理解しているが、寄り添うように同じ位置を保つ二つの影に、妙に心地よくて楽しい気分になる。
「早くしろよー」
 一段と遅くなったレイヴンの足取りに、つんのめりそうになりながら速度を合わせ、それでも口調だけはいつもと変わらない素っ気なさで言った。
「しんどいわー」
 ジュディスが服を脱いでる、とでも言えばすぐにでも走りだして行くくせに、まったく困ったおっさんだ。応援してくれる女性陣がいないと力が出ない、というところなのだろう。
「ほれもうちょっと」
 一歩足を進めれば、
「もうおっさん、ここで捨てられるのね?」
 情けなく縋るような声が返ってくる。
 放っておかれたからといって、街まであと少しの距離なのだ。別にどうってことはないくせに、どうしてこうも言動が子供っぽいのか。この様子を見たら、シュヴァーンに憧れを抱いているフレンなど、泣き崩れてしまいそうだ。
「あーはいはい。先行くぞー」
「酷いっ。冷たいわっ」
 盛大な溜息をつきつつ、立ち止まる。
 今まで置いていったことなんか一度もないだろ。
 そんな当たり前でわざわざ言う必要のない言葉が浮かんで唇を押し広げたが、音になる寸前で喉の奥へと飲み込む。代わりに、今にも止まりそうなレイヴンの足取りに、自分の歩調を合わせた。
 ゆっくり歩くのは嫌いではない。
 こうして二人きり、街までの道を急がず歩くのは、嫌ではない。
「青年?」
 そう思いながら更にテンポを落とせば、不思議そうな声が背中から聞こえた。
「んー?」
 気のない返事を纏わせて肩越しに振り返れば、後ろに伸びた影はレイヴンの影の方が僅かに低い。レイヴンとの距離が、僅かに近くなっていた。
「あー、あの……。別に、何でもない、わ」
 揺らいだ何かを飲み込みながら真っすぐとレイヴンを見据えれば、戸惑ったような曖昧な返事が返ってきた。
 気配には敏いレイヴンのことだから、ユーリが抱いた何かに気づきはしたのだろうが、それが何であるかまでは分からなかったようだ。
「相変わらず、変なおっさんだな」
 鈍いくせに、変なところで敏い。敏いくせに、肝心なところで鈍い。
 気付かないのならばいっそ、まったく気がつかなければ、ユーリ自身も自分の全てを気のせいだと誤魔化してしまうこともできるのだろうに。始末に悪いおっさんだ。
 レイヴンの歩みに合わせるようにしながら、それより僅かにゆっくり歩き、レイヴン自身の歩みを少しずつ遅らせているなどと、自分のことながら幼稚で滑稽で下らない行動だ。
 本当に、自分はこのおっさんに、何を求めているのか。
 街に着くまでの時間を遅らせて、疲れたとぼやきながら二人で歩く時間を延ばして、それでいったい何をしたいのか。
「あ、相変わらずってのは、酷くない?」
「そうかー?」
 自分の子供っぽい独占欲に小さく笑って、振り払うように歩みを速めた。
 後ろの足音が遅れずについてくるのを確認しながら。


二人っきりの時間を延ばしたくてゆっくり歩くユーリとか。
ユーリが「何」をしてるのか気づいても「何故」そうしてるのかわからないレイヴン。
ユリレイって言うにはCP色ねーよなーwww

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