運命の果てまで

テイルズ(V/G/A/S-R/D)・FF・Dグレなど、ゲームやマンガに好き勝手萌える腐ログ

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雰囲気だけ

相変わらずヤマもオチも何もないSS。
表記するならユリレイだが、たぶんそんな気配は欠片もない。
ユーリ視点とセットで読まないと意味不明な話なので、
そっちも近々UPしたいと思います。


 
「ふひぃ?疲れたわ?」
「ほら、さっさと歩けよ」
「ちょっと青年ー。おっさんもう駄目ー」
「んじゃここで置いて行ってやろうか?」
 いつもの綺麗に整った顔で、少しも思案することなくそう返された言葉を、レイヴンは謹んで辞退することにした。置いていってもいいなどと口走ろうものなら、少年少女がそう言うのならともかく、レイヴン相手ではすぐさま実行に移されることはわかりきっている。
 例え目的地の街がすぐ近くだとしても、レイヴンの持ち分の荷物が随分軽かったとしても、やはり一人で放り出されるのは寂しいものだ。特に夕暮れが迫っているこの時間帯ならなおさら。
 赤い夕陽を背負い、黒く塗り込められた影のように黒く染まっているユーリが、口元に笑みを浮かべたのが見えたような気がした。
「はぁー、バウルならすぐなのに」
「仕方ねぇだろ。ジュディがバウルでないと行けない場所に行ってるんだから」
「おっさんもジュディスちゃんと行きたかったわ?」 
「それも仕方ねぇだろ。満場一致で却下されたんだから」
「信用、ないのねー」
 効率的に素材を集めるために三つに分かれて行動することを決めたのは今朝のことだ。
 最近エステルの様子を頻りに気にするリタが絶対に一緒に行くといい、二人では危ないからとラピードが彼女たちと一緒に行った。
 レイヴンはジュディスとの行動を希望したのだが、リタに下心が見え見えだとファイアーボールで阻止されてしまったのだ。ついでに本人からもやんわりと拒否されてしまい、回復役を分けるという理由で、ジュディスとカロル、レイヴンとユーリの組み合わせとなった。
「おっさんは鼻の下、伸ばし過ぎだろ」
「野郎二人で何が楽しいのよ!」
「……存分に身体動かせるところ?」
「ちっとも嬉しくないわよっ」
 男二人行動はあきらめたとしても、ユーリと一緒というのは最大の試練だったかもしれない。何せこの青年は、強い魔物がいるとなればついつい突っ込んでいくという、困った癖をお持ちなのだから。
 もっとも、その癖に関してはジュディスも同類のところがあるので、どちらと行動を共にしていても被害に大した差はなかったのかもしれない。しれないが、花がある方がまだ我慢ができるというものだ。
「いい加減あきらめろよ、おっさん。ほら、もうすぐ着くぜ」
「そうだけどさぁ?」
「ゆっくり歩いてたらいつまでたっても着かないぜ? ま、おっさんがそれでいいならかまわねぇけどな」
「いやーよー。早くお風呂に入りたい」
 熱い森の中で目当ての魔物を探して走り回ったりしたものだから、身体中汗まみれだ。早く帰って汗を流したいものだ。
 と思いつつ、疲れた足取りは重い。
 のらりくらりと歩くのが精いっぱいといったところだ。
「早くしろよー」
「しんどいわー」
「ほれもうちょっと」
「もうおっさん、ここで捨てられるのね?」
「あーはいはい。先行くぞー」
「酷いっ。冷たいわっ」
 口は動かすことができるのだが、足がなかなか進まない。
 あーもう、ここで一人休憩しようかしらと足元に視線を落としたら、すぐ前にまだ青年のブーツの先が見えた。休みなく前に進んではいるのだが、一歩が非常に短い。結果、ゆったりと歩くレイヴンの足取りと同じぐらいの速さになっている。
 顔を上げると、夕日に照らされて影になっている背中。
 いつも通りの真っすぐと延ばされた背筋と、同じ速さの足運び。
 けれど短い歩幅は、なかなかレイヴンから離れない。
「青年?」
「んー?」
「ぁ…………」
 立ち止まったユーリの姿。肩越しに振り返った顔は、影になっていてよく見えなかった。それでもいつもと同じように黒く長い髪が輪郭を覆っている。
 声をかけたはいいけれども、何を言うべきかが全く形にならなかった。
 奇妙に戸惑った気持が夕日の赤さに溶かされて拡散していき、自分が何を感じたのかを曖昧にしていく。
「あー、あの……。別に、何でもない、わ」
 言わなければならないことなんて何一つない。
 ただ言い表しがたい感覚の塊が、宙に浮いたようにふわりと胸の中に浮かんでいる。
「……。相変わらず、変なおっさんだな」
「あ、相変わらずってのは、酷くない?」
「そうかー?」
 くすりとした笑い声が耳朶を掠め、静かさの中に溶け込んでいく。
 いつものようにそっけなく前を向いて歩きだしたその足取りは、先ほどよりも少しだけ早くて、置いていかれないようにレイヴンも足を速めた。


夕日をバックに佇んでいて、表情に影が差して読みとりにくい、という情景が好きです。
そのものじゃなくて夕日が作り出す影って独特の雰囲気があるなーという、中二病的な感覚。

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