運命の果てまで

テイルズ(V/G/A/S-R/D)・FF・Dグレなど、ゲームやマンガに好き勝手萌える腐ログ

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ユリユリ

VS準拠のユリユリー。
今回は白ユリたん視点での話。
といいつつ、前半は勝手な捏造でダークっぽくなってる。
取り敢えずVSのボスファンには先に謝っておく。
だがあいつには舞茸と同じ匂いを感じるんだぜww

↓ちなみにログ見ればすぐ見つかりますが一応今までの話。
ユリユリ1話ユリユリ2話ユリユリ3話です。

ユリユリ同志の輪よ広がれっ!


 
 見下ろしてくる瞳は蔑みの成分で構成されている。
 いや、この男が示すものは視線にしろ言葉にしろ、侮蔑が混ざっていないものなどないのだ。自分の身勝手で作っておいて、忌避すべきものだと汚物を見るような表情を浮かべていた。
 テメェのようなヤツこそ傲慢というのだろと指摘してやれば、当然の権利とばかりに力づくで抑え込んでくる。そんなヤツの、どこが傲慢でないというのか。
「レプリカの分歳で勝手をするとは、随分と出来の悪い仕上がりだな」
 お気に召さなくて悪かったなと、胸中で吐き捨てる。
 口に出さなかったのは別に相手を怒らせない為でも、保身の為でも、ましてや許しを乞うためでもなかった。ただ忌々しい男の足に、喉を押し潰すように踏みつけられていて、息すらまともに出来なかったからだ。
 それでも睨みつけているのが気にくわないのか、足に力がこもる。
 視界が歪み、潰された喉が意思に反して奇妙な音を発した。潰れた蛙のような音だと思ったが、すぐにそんな思考も、酸欠を訴える脳に掻き回される。痛みよりも息苦しさが全身を押し潰すようで、指が、足が、痙攣を起こすように跳ねた。
「お前たちのような人形、本来なら存在すら許されぬのだぞ」
 だからテメェに感謝しろって?
 這いつくばって感謝して隷属していろって?
 そんなことがお望みなら、それこそ自分の発言通り、完璧な人形を作りだせば良かったのだ。頭の空っぽの、何も考えることも感じることもない、本物の人形を作ればそれで済んだのだ。
 それなのにこんな、余計なことばかり考える自分のような存在を作ったのなら、
「テメェが無能だってことだろ」
 完璧な人形を作れるだけの力がなかったのか。
 完璧でない人形にすら頼らなければならないほど力がないのか。
 どちらにしろ、自分自身の出来が悪いのを、俺のせいにするんじゃねぇよ。
 汚らわしいものに触れていたくないとばかりの様子で足がどけられた隙に、たっぷりの皮肉を込めて言ってやった。
 瞬間、蹴りが鳩尾に直撃して、壁へと吹き飛ばされる。
 背中を強打して呼吸が止まり、視界が白濁した。
 口の中に慣れた鉄の味が広がり、生臭い塊が喉に引っかかる。絡んだタンを吐き出すようにして、無理やりに吐き出した。
「まったくもって低俗だな」
「テメェに似て悪趣味じゃないだけマシだと思えよ」
「口のきき方一つ理解できんとはな。――おい」
 そういって後ろに声を投げかける。それもいつものことだ。
 呼ばれて出てきたのは、胸糞悪いほどに自分と同じ顔が二つ。
 作りが全く同じ姿が進み出てきて、倒れたまま動けない自分を蔑みの目で見下ろしてくる。これが崇高だというのなら、いっそのこと低俗でいた方が遥かにましだ。こんな趣味につきあってられるほど、変態じみた好みは残念ながら有してはいない。
 黒髪の下から投げかけられる、腐った葡萄みたいな紫の視線。
「お前も懲りねぇな、『ユーリ』」
「学習能力って言葉知ってるか? なぁ『ユーリ』」
 同じ顔が二つ、同じ顔の自分に吐き捨ててくる言葉。
「ああ、名前呼ぶなよクソ人形。耳が、腐るだろ」
 こんな顔をいくつも作りだすなんて本当に趣味が悪い。
 自分から進んで従う振りをして、その実ただ単に使われているだけの人形が、自分と同じ顔をしているだなんて、反吐が出そうなほど腹が立つ。レプリカどころかただの勝手に動く人形のくせに、自分にも力があると思っている、そんな愚かな存在が、自分と同じ顔をしているなんて。
 ――こんな顔、消えてしまえばいいのに
 心底、呪いのように思う。可能ならば今この場で剣を抜いて、二つの首をすっぱりと斬り落としてやりたいぐらいだ。動いて、息をして、隷属するだけの自分と同じ顔など、存在しているだけでも忌々しい。他人の力の上で強くなった気で他者をいたぶって、小さな自分の矜持を守るなど、虫唾が走る。
「威勢だけは良いな。お前たち、こいつに立場というものをわからせてやれ」
「はい」
「かしこまりました、ダオス様」
 耳障りな声に、耳障りな言葉。
 ダオスに一礼をしてから、見下ろしてくる虎の威を駆る自慢げな表情。
 こんな、自分と同じ顔の人形など、消えてしまえばいいのに。
「動くな」
 逆らわれることを考えもしない、押し付けがましい声を耳朶が捉える。
 途端、身体が動かなくなる。指先一つ、痺れたように動かなくなる。全身を無理やり抑えつけられたように息苦しく、神経が自分の意思を伝達せずに火花のような痛みが走った。
 込めた力の分だけ痛みが増し、冷汗が背を伝っていく。
「吠えようとも所詮お前はレプリカなのだ。私に逆らうことなど出来はしない。良いか、こいつらからの躾が終わるまで動くことは――許さぬ」
 指は剣の柄を握ったまま動かせなかった。見せつけるようにゆっくりと寄ってくる同じ顔二つを、切り捨てて消してしまいたいのに、握ったままの状態からぴくりとも動かせはしない。呼吸すら自由にはならず、喉の隙間から僅かな空気を求める頼りない音が漏れるだけだった。
 辛うじて動く視線だけをダオスに向ける。
 嘲笑を浮かべている顔を、殺意を込めて睨みつける。
 それが叶わぬ虚しい行為だとわかっていても、だからといって相手が望む行動を取ることは出来なかった。それが出来るなら、最初から逆らいなどしない。
 愚かな行動だということぐらい、自分でも嫌というほどわかっている。逆らおうにも、この身体は自分の意思よりもダオスからの命令を優先するのだから。
 それでも、無駄に存在している意思が、人形でいることを拒むのだ。
 身体は従うしかなくても、感情が頑なに拒むのだ。
「お前は私が作ったレプリカだ。それを忘れるな」
 言われなくても忘れやしない。
 忘れられないからこそ、何度でも何度でも何度でも、例え身体を従わせられても、こうして愚かだとわかっていながら逆らうのだから。
「さぁ躾の時間だぜ、『ユーリ』」
「もう少し利口になれよ『ユーリ』。それともこういうのが好きなのか?」
 髪を掴んで引き起こす白い手に心底嫌悪感が湧く。
 従うことで、蔑むことで、自分が人形であることを忘れようとする姿。しかもそれが自分と同じ顔、自分と同じ存在だというのだから、目の前で息をしているだけでも虫唾が走る。自分自身の意思すら、土足で踏みにじられているような屈辱を感じる。
 それに比べれば、身体の痛みも、これからこいつらが自分に施す躾とやらも、大したことではなかった。ただの表面上の事なのだから。
 無理やり重ねられてくる唇も、遠慮なく秘部を汚そうとする指も、大したことではない。
 動けない身体に押し付けられるものも、もういまさら構いはしない。
 どうせこの身体はこいつら人形と同じ、紛い物なのだから、どうされようと気になどしない。
 汚れ果てていて、このまま腐って朽ち果てても構いはしないものなのだ。
「ほら、足を開けよ『ユーリ』」
「零すなよ『ユーリ』。まだこれからだからな」
 煩い。呼ぶな。汚らわしい。
 人形と同じ名前など、紛い物を差す名前など、聞きたくもない。
 そんな内側から犯されるような呼び名など、いらない。


「――か? おいっ、大丈夫か? しっかりしろって、ユーリ!」
「煩いっ!」
 繰り返される名前と、揺さぶられ続ける身体に、苛立ちを込めて手を振り払った。
「うおっ?」
「――!」
 自由に動いた自分の手と、見開いた視界の先にあった紫紺の瞳に、驚き動きを止める。
 そのままの姿勢で周りに視線を巡らせてから、もう一度自分を覗きこんでいる瞳を見据えた。光の侵入を一切拒んでいるかのような黒髪の向こうから、闇に近い紫の瞳が真っ直ぐと『ユーリ』を見下ろしてきている。
 先ほどまであった淀んだ瞳とは違う、色。
「大丈夫かよ、ユーリ」
 怪訝そうな声が、もう一度名前を呼ぶ。
 だが先ほど感じたような嫌悪感は浮かんでこなかった。ずっと嬲るように名を繰り返していた声と同じ声なのに、揺れた鼓膜から伝わってくる感触は全く違っている。
 静かに、染みるように、真実を告げる声音。
 意思と感情が存在している、自分とは違う自分の声。
「……。何、してんだよ」
「おいおい、それはこっちの台詞だってーの。大声出して、魘されてたみたいだから起こしただけだろ」
 肩を竦める目の前のユーリ。
 ごちゃ混ぜになりそうな夢と現実を区別するように、腕で両目を覆って視界を遮断した。じとっとした首筋に髪が絡まり、背に触れているシーツが湿り気を帯びて身体を包んでいる。まるで人の掌のように。
「……名前、呼ぶんじゃねーよ」
「はぁ?」
「『ユーリ』はお前の名前だろうが。俺は……シロだってことにしただろ」
「ああ。そういやそうだったな」
「朝っぱらから自分の名前連呼してたら、変態かナルシストにしか聞こえねーぞ」
「あーはいはい、悪かったな自分の名前大好きな変態ナルシストで」
 呆れたような機嫌を損ねたような、けれど何処となく楽しそうな声に、腕を離して身体を起こした。窓から入ってくる日差しに目を眇めて、ベッド際に立ったままの相手を振り返る。と、
「――何だ、それ」
「ん? ああ、これか。見てわかるだろ、ベッドだよ」
 狭い扉を無理やりくぐらせた木の枠組みが、狭い部屋の中に横たわっていた。
「お前、この狭い部屋にベッドを二つも置く気か?」
「誰のせいだ誰の。お前が俺のベッド占拠したから昨晩はテッドの部屋で無理やり一緒に寝る羽目になったんだぜ。さすがに二日続けてそんなのはごめんだからな」
「……別の部屋にしろよ」
「あのなぁ。間借りしてる身でそんなこと出来るかよ。ほら、少しぐらい手伝えよ」
 元々広くはない部屋が、あっという間にいっぱいになる。両方の壁際にベッドを置けば、その間に細い通路のような隙間と、窓際に小さなテーブルという状況で、座れるのはベッドの上だけだ。
 だがユーリは、それほど気にしている様子もない。ベッドが二つ入った、という状況に満足しているようだった。
「で、こんな部屋にお前と二人か?」
「お前が俺と一緒に住む、って宣言したんだろ」
「一緒に世話になる、とは言った記憶はあるがな」
「同じだろ」
 大したことでもない、というようにあっさりと返される。
 レプリカがどういう存在か知っていて、自分にも襲撃されたことがあるというのに、無理やりついてきた身を当たり前のように同じ部屋に住まわせようとする。普通なら何か別の思惑がでもなければ、受け入れることなどないはずだ。
 だがこのオリジナルである『ユーリ』はそんなことを微塵も考えてはなさそうだった。面倒見ろと付いてきたから面倒見る、というぐらいの感覚だ。
 どうもこの男はその辺り、適当で呑気な性分のようだった。そうでなければ、自分に刃を向けた相手を、しかもレプリカという存在を、武器を取り上げることもなく同じ部屋に置こうとするはずなどない。
 自分と同じ顔なのに、全く違う。
「よしっ、と。とりあえずこれで今晩はまともに寝れそうだ」
「野郎二人で何が嬉しいんだか」
「ま、同意だけどな。別にそれほど悪くもねーんじゃねえか」
 さらりと言われた言葉に、不覚にも返す言葉が詰まる。
 幸いにもユーリはベッドメイクの途中で、気づきはしなかったが。
「んじゃ、下りようか。メシ出来てるぜ、ユーリ」
「…………。シロ」
「ん?」
「シロだって、言っただろ」
「あー。……うん、まあ、そうなんだけど、な」
 顔が一緒で名前も一緒だとさすがに色々と面倒になることはわかっているはずだ。それに昨日は別に構わないと言っていたはずなのに、どうも煮え切らない態度が返ってくる。
「何だよ、気に入らないのかよ。名前なんて何でもかまわねーだろ」
「――だったらユーリ、でもいいだろ」
「それはテメェの名前だろうが」
 自分の『ユーリ』はただの便宜上の呼び名に過ぎないのだ。ユーリのレプリカ、と呼ぶのを短くしただけの記号なのだから。
「そっちこそ、『ユーリ』がそんなに嫌なのかよ」
「! ――ただの名前、だろーが。何で自分と同じ名前で呼びたがるんだ」
「それは……。それはお前が、」
 整え終わったシーツから手を離し、身体を向けてくる。
 ベッドとベッドの隙間に立つ姿は窮屈そうだった。
「『ユーリ』って名前に拘ってるように思えたから、だよ」
「…………」
「呼ばれたくねえのかよ、『ユーリ』って」
 ああ、どうしてこの男は、変な所で敏感なのか。
 適当に受け入れるくせに、語りもしないことにだけは気付くのか。
 責めるのではなく、同情するのでもなく、もちろん興味本位でもなく、自然な歩みで一歩踏み込んでくる。けれどその一歩以上は、決して踏み込んでこようとはしない。
 ここで適当に誤魔化せば、きっとユーリはこれから先二度と聞いては来ないだろう。つい先日出会ったばかりだが、それだけは妙に確信できた。嫌ならば一度だけ、躱せばいい。それだけでもう二度と踏み込まれることはない。
 それ、なのに。
「お前が先に、シロって呼びたくねえ理由、言ってみろよ」
 だったら言ってやる、と口にした。
 その言葉に込めた意味が、踏み込んでくるなという拒絶だったのか、これでも踏み込んでくるのかという確認だったのかは、自分でも不明瞭だった。
「……犬や猫みたいな名前、だろ」
 ユーリは僅かに視線を逸らしながら口を開いた。
「俺は気にしないって言ったぜ。ただの呼び名だ」
「ほら、あいつら――先に死んじまうから、さ。死に際には勝手にどっか行っちまって、最後を見てやることも出来ねえし。まあ、仕方ねえんだけど」
 だから嫌なんだよ。
「お前も、勝手にどこかに消えて、死んじまいそうで」
「………………。くだらねえ」
「まったくだよ、な」
 苦笑してユーリは忘れてくれというように手をふった。
「つまんねーこと言っちまった、な。シロの方がいいなら、そう呼ぶさ」
「『ユーリ』は……」
 部屋を先に出ていこうとした背に、無意識に口を開いていた。
 扉の所でユーリは立ち止まった。だが振り返りはせず、そのまま言葉の続きを待っていた。
 この男が『俺』のことをわかるのはオリジナルとレプリカだからなのか。それとも、この男が持っているものなのか。
「その名を呼ばれて良かったことなんか、一度もなかったからな。いまいち好きになれねーんだよ」
「……」
「別に遠慮してる訳じゃねえ。呼ばれたくないからテメェに押し付けてるだけだ」
「そうか。――そんじゃ、」
 振り向く、ユーリ。
 黒髪が主人の後を追う子犬のように軽やかに流れて、肩を滑り落ちる。
 アメジストの瞳が大きく開いたままこちらを捉える。綺麗なものばかりを見てきた訳でもないだろうに、何故だかその瞳はとても澄んでいて、鏡の中の自分とも、記憶にある同じ顔の人形共とも、違った色合いを有していた。
 これは自分ではない。
 自分も彼ではない。
 そんな当たり前のことが、確信できた。
「さっさと下りてメシ、食おうぜ――シロ」
 軽やかに響いた自分の名前に『ユーリ』は――シロは、小さく笑みを浮かべた。


名前へのこだわり編。呼びたくない理由と呼ばれたくない理由。
ってか、すでに出来上がっているかのような雰囲気だな!
まあ、なんだ、前半部分は捏造なので軽く流してくれたら嬉しい。

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