運命の果てまで

テイルズ(V/G/A/S-R/D)・FF・Dグレなど、ゲームやマンガに好き勝手萌える腐ログ

2007年12月 | ARCHIVE-SELECT | 2008年02月

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知らないから -イクディム-

TODディレクターズカット発売記念SS。
この二人ならどっちかって言うとTOD2じゃないの?って突っ込みは禁止です。……いや、ディムスタとかも書いたんですけど、あまりにも暗くなってボツにしたんですよ。久しぶりに書くとさじ加減がわからなくてね。



 視線で人が殺せるのならば良い。じっとその姿を瞳に収めながら最後の瞬間まで漏らさずに記憶できるだろうから。
 もしくはこの手に力があればいい。彼よりも強い力があれば、その身体を組み敷き押さえつけ、抵抗をものともせず心臓に剣を突き刺すことができる。そうすれば彼を殺した罪悪感と彼が誰の手にも渡らない安心感で満たされるだろうから。
 それとも彼がもう少し優しさを忘れてくれればいい。それならば彼から明確な拒絶を突きつけられるか、それとも逆に殺してもらえるかもしれない。心か身体、どちらかが機能を停止させれば悩まされている苦しみとも別れることができるのだから。
「どうだ? 現存戦力で何とかできそうか?」
「……そうですね。難しいですが、私の情報部からも多少人員を割けば何とかなるんじゃないでしょうか」
「指揮はシャルティエに任せようと思うのだが」
「あぁ、丁度いいですね。彼はこの手の細かな作戦の方が向いてますね」
 心の声を表面には出さずに答え、書類上の文字を追っていた視線を少しだけ上げた。
 白い服に覆われた肩は服の上からではそれほど大きくは見えない。もちろん鍛え上げられていてイクティノスよりも立派ではあったが、戦場の彼を知っているものは雰囲気の違いに驚くだろう。蒼く繊細な色合いの長い髪。鋭さはあるが優しさの宿った翠の瞳。厳しさを伴った動きではあるが乱暴ではない行動。威圧感のある声で発せられるのは、常に誰かを守るための言葉。
 地上軍の軍神ともいうべき男――ディムロス。
「期日は?」
「明後日だ」
「厳しいですね。ですが――努力しましょう」
 すまない、と答える声に、いつものことですよと笑って返す。そして表面上はいつもとなんの変りもない自分の姿を、冷めた眼差しで見つめるもう一人の自分。こうやって同僚で居続けることに何の意味があるのかと、やかましく底意地悪く尋ねてくる自分の影。
 この部屋には他に誰もいない。ディムロスのイクティノス相手に何の警戒もしていない。今ならば不意を衝いて手を取り壁に押し付け、自由を奪うことはそれほど難しいことではない。小技の効いた戦い方ならイクティノスの方が得意だ。力技では敵わなくても、やり方を変えればいくらでも勝つ方法はある。
 書類を差し出す。受け取ろうとディムロスが手を伸ばす。
 今ならできる。望むなら奪える。
「では正式な書類は明日、カーレル経由で提出させてもらう」
「……ええ、わかりました」
 そのまま彼のもとに移動していく書類を見つめる。返答が一瞬遅れたのは動きそうになる手を握り締めていたからだが、幸いにもディムロスはそのことに気がつかず、そのまま部屋を後にした。
 残ったのは蒼い残像と、手の平の爪痕だけ。

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没SS -バシュバル-

オフ用のSSを今月は2本ほど書いた訳ですが、オフ用を書いていると自分でも本を出したくなってきます。なので、サイトで途中まで書いてるバシュバルの「Clown?」を完全版で書こうかどうか悩んでいます。今から年度末にかけては死ぬほど忙しくなてくるのに、この時期が一番書きたくなるという罠(現実逃避)。

あ、↓は、バシュバルeroのボツ話です。
こんな訳のわからないボツは腐るほどありますよ。



 米神に銃を押し当て、酷薄な笑みを浮かべた。艶やかな唇が動いて何かを語りかけてきたが、音は全て二人の間を吹き抜ける風に奪われて届かなかった。聞こえないと大声を出すと、瞳が寂しそうに揺らめく。もう全ては終わったのだと、これが運命なのだと、そう諦めているかのような眼差し。
「待ってくれ!」
「…………」
 こちらの声は聞こえているのか、彼はゆっくりと首を振った。けれど彼の声は聞こえない。毎日のように聞いていた声なのに、ただの一文字分の音も自分には聞こえない。風の音が煩く耳朶をたたくだけだ。幾度も重ねた唇が、何かを残そうと言葉を紡ぎだしているはずなのに、自分の元には何一つ届かない。
「バルフレア!」
「――さよなら、だ」
 最後の声だけが鮮明に聞こえ、それを奪うように銃声が響いた。
 弾け飛ぶ銃。仰け反る身体。そして地面に打ち付けられる音。いつしか、あれほど吹き荒んでいた風は止んでいた。

「――で?」
「それで終わりだが?」
「だからそれで俺にどう反応しろと?」
「酷いとは思わないのかね、バルフレア。理由も告げずに私を置いていくなんて」
「……知るか!」
 夢の内容まで責任取れるか、と言い捨てて、出ていくバルフレアの背中をバッシュは見送った。普段より大きな音をたてて階段を下りていく足音が聞こえる。はっきりと生きている者の足音だ。
「夢で、良かった」
 風の強い窓の外に視線を向けて、バッシュは一人呟いた。

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バトンとSS

カップリングバトン 【師ティキ】
最近Dグレづいてるなぁ。

↓ミニSS織り交ぜながら解答しています。

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不機嫌な月 -バシュバル-

バシュバルエロ本に参加させてもらうことになって原稿書いている途中です。が、ここでSS書くのは明らかに現実逃避(笑)。ネタ的には好きだったんですが、本の趣旨とずれていたので再利用。


「それほど好きなのかね?」
 質問に大した意味はなかった。今日は晴れそうだと朝に天気のあいさつをする程度の、何の気なしの言葉。だがバルフレアは、後ろで突然大声を出されたような表情で振り返った。
「何がだ?」
「――いや。月を良く見ているから、それほど好きなのかと思っただけなのだが」
 瞠目した表情にやや戸惑いながら答えた。彼が動揺を表面に出すのは極めて珍しい。
「月を? 俺が?」
「あぁ。良く見上げているだろう? それにこの前は一緒に月見酒も飲んだし、風流なものだと思ったんだが……違ったのかね?」
「アンタがそう言うなら、俺は良く月を見ているんだろうよ」
 だが、と続く口ぶりだった。同時にその先には踏み込むなとも、踏み込んでくるなとも言っているようだった。彼自身も自分の気持ちを測りかねていたのかもしれない。深呼吸三回分の沈黙。それだけの時間を空けるのも珍しいことだった。
「――バッシュ。アンタ、何で俺が空賊になったっと思う?」
「…………」
「海賊や盗賊ではなく、空賊を選んだと思う? 足の付きやすい飛空艇を使ってまで」
「……空が自由だから、かね」
 自由を求めて空賊になった、そう言っていたことを思い出して答えた。だが酷く自嘲的な苦笑いを浮かべ、自由なんてないと呟いた。
「空に自由なんてない。どこにも自由なんてない。それはアンタだってわかってるだろう? ――俺はただ、地面ってやつが大嫌いなんだよ。何でもかんでも見上げなきゃ見えない大地がな。だから見下ろしてやろうと思った、それだけだ」
「見下ろす?」
「そう。見下す、でもいいけどな。空の上から、大嫌いな大地を見下ろしてやりたかった」
 口調は軽い。けれどその言葉には彼の過去そのものが凝縮されているかのようだった。容易に触れてはいけないような傷跡。
「飛空艇からなら何でも見下ろす位置にある。上を見なくて済む。けど――」
「けど?」
「空を飛んでても空はまだ上にあるってことさ」
 大地は眼下に広がり、建物も人も山すら見下ろす位置にある。けれど空を飛んでいても空はやはり上に広がり、星も月も頭上で輝く。いつまでたっても見上げているしかない。いつまでたっても見下ろされたままだ。
「では君は月が嫌いなのかね?」
「大嫌いだね」
 躊躇いのない答えが返ってきた。
 月は毎日上りそして毎日沈む。けれどその沈む瞬間すら見下ろすことはできない。消える最後の時にようやく同じ視線になる程度で、それ以外は飛空艇からでも見上げなければ見ることはできない。空を自在に飛んでも、常に月に見下ろされている。淡い光を放ちながら深い闇であるはずの夜を照らし、ヒュムを見下ろしている。
「月を見てるとヒュムは所詮踊らされているだけの道化に思えてくるのさ」
「だから嫌いだと?」
「あぁ」
 月はヒュムのことなど気にしていない。存在すら知らないかもしれない。けれど人は月を見上げ、月に心奪われる。届かない思いを抱えている。それはまるで憧憬。
「では何故いつも見ているか聞いても?」
「……。見ていないと――」
 バルフレアは再び背を向けて月を見上げた。薄雲に遮られながらも満月の光は空に白金の円を描き出している。
「――忘れそうだからさ。嫌いなことを」
 その言葉に誘われ、バッシュも同じように月を見上げた。

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愛の試練バトン(なりきり)

というバトンが回ってきました。

( )内に指定された人物?を当てはめて、
愛せるかどうかを指定された人物?のなりきりで答えること。
指定?:ティキ
指定?:アレン

おぉ、敢えてアレティキできましたね!
腹黒アレン様になりきって答えますよ!

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【指定バトン】

某様宅から勝手に拾ってきました。

お題は【ティキ受け】で。

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しばらくお預け

今更ですが、PS3の20GBと60GBの出荷が終了だそうです。
PS3は欲しいソフトがないので買ってないんですが、個人的には一番欲しいハードだったりしました。あの無駄な高性能っぷり!マルチメディア再生機として優秀で、アップコンバート機能も秀逸、ブルーレイ再生機として格安、は一番欲しいところだったりしました。最悪PS3ソフト買わなくてもハードだけ買うか、ってな気分だったり。でもこれから40GBだけなんですねー。残念。スペック削ったハードに魅力は感じないんだよなぁ。(←電化製品オタク)

下位互換(PS2互換)がなくなって、アップコンバートもなかったら、私の買う理由が半減しちゃうんですよね。すでにネットでは60GBがプレミアついて定価以上の値段になってるし。うーん、本気で近々買う予定だったんですが、これでまたしばらく様子見になりそうです。
次に買う機会は、FF13同梱版ですかね?ついでにその時、下位互換も再搭載してくれれば嬉しいんですけど。まぁ1台売るごとに3万円の赤字といわれていたハードですからね。仕方ないかな。

あ、素敵なバトンを拾ったんですが、時間がないので回答は明日にでも。

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刻印 -ジェイルク?-

危ない雰囲気のジェイ←ルク。
続きは明らかにR指定なのでブログには載せられませんとも!



 ――好きなんだ
 そう言うと、常の感情のこもらない冷たい瞳がさらに凍りつくように輝いた。赤い瞳がたたえているのは拒絶というには容赦がなく、隠す気のない嫌悪を最大限までため込んでいるかのようだった。
 心臓の辺りがズキリと痛む。例えでも何でもなく、本当に心臓を蹴り飛ばされたかのような痛みで呼吸が止まりそうだった。冷やかな刃が深々と胸に突き刺さり、心臓すら凍りつかされてしまいそうだった。だがそれでも、悲しみよりも先に歓喜が浮かんでくる。ジェイドの瞳が自分の姿を映している、ただそれだけのことで。
「馬鹿なことを言っていないで早く寝なさい」
「俺、本気なんだ」
 立ち去ろうとする腕をつかんで言葉を重ねる。
 手を振り払われることはなかったが、掴んだ腕からは冷たさだけが伝わってきた。発せられない言葉が逆に空気を刃に変えているかのような痛みを生み出す。見上げることができずに、ルークは視線をじっと手に固定していた。見なくても血のように赤い瞳にどれだけ冷たい色合いが浮かんでいるかはわかる。
「――本気、ですか」
「うん」
「それで? 私に何をして欲しいと?」
 何も、と答える。
 別に何かをして欲しいわけでもなければ何かが欲しいわけでもない。自分の中の感情が大きくなり過ぎて、内にとどめておけなくなっただけのことなのだ。口に出さなければ溢れ出てくる激流にルーク自身が打ち砕かれてしまいそうだったのだ。
 もし何かをして欲しいのだとしたら、それは知って欲しいということだったのかもしれない。ルークが抱いた思いをルーク以外の相手に、知っていて欲しいと。そして出来れば覚えていて欲しいと。ルーク自身もルークの思いも、遠からず消え去ってしまうものだから、誰かの記憶の中ででも世界に残しておきたいと、そう願っているのかもしれない。
「私はあなたに何の感情も抱いていません。」
「――うん」
「余計なものまで覚えておく趣味はありませんし、あなたのことにも興味がありません」
「うん」
 ですが、と続いた言葉にルークは顔を上げた。
 そこには想像と寸分違わぬ冷たい血の色をたたえた瞳がルークを見つめていた。真っ直ぐとルークを見つめる視線は揺るぎがないが、力強さも熱もこもってはおらず、ただ目の前の景色を網膜に映しているだけのようだった。おそらくジェイドにとっては天井や床もルークも同程度の関心しかない。自分以外にそこに存在する物体、その程度しか。
「努力してみますか?」
「努…力?」
「私にあなたのことを覚えさせる、そんな試みのことですよ」
 言葉に力がこもるというのならばまさしくジェイドの発したものはそれだった。
 優しい言葉よりも甘く、冷たい言葉よりも残酷に響く無機質な声。手袋越しの手がルークの顎に触れたが、肌に感じられる温もりは皆無だった。外気温で冷やされた布の感触だけがわずかに浮かぼうとする希望を抑え込むかのように伝わってくる。
 耳を傾けてはいけない。自分の声が必死に制止を告げているが、実態のない希望に惹かれ初めた心は止まることを知らない。先にあるものが何であるか恐れを抱いていても、目の前にあるものを掴みたいと願ってしまう。
 無造作に上を向かされると、無造作な唇が触れてきた。
 冷たい唇。
「あなたは私に何を刻み付けられるのでしょうね」
 そこにあるのがルーク自身を傷つける刃だとしても手を伸ばさずにはいられない、そんな魅惑が込められた囁きだった。

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その指 -師ティキ-

予定ではDS版FF4を終わらせて、PSP版SO1に取り掛かり、来月発売の世界樹の迷宮に備えているはずだったのですが、未だにFF4はパラディン直後だったりします。それもこれも全部BASARAのせい。それほどやりこむつもりなかったのに英雄伝説を延々とプレイしています。大武闘会全員達成まであと4人。……どれだけやってるんだ、私は。

 伸ばした指先が誰かを求めていたのは確かだが、誰につかんで欲しいと思っていたのかはわからない。ただ寒くて、指先が凍りそうで、誰かの温もりが欲しいと思っていたのだろう。力をつかって拒絶すれば痛みも恐怖も自分の身を貫くことはないが、寒さという実態のないものを拒絶することはできないのだから。
 指先が何かに触れる。冷たいと感じた。重力に逆らうことを嫌がる瞼を無理やりにこじ開けて、燃えるような髪の男に抗議する。
「クロス――冷たい」
「注文ばっかりだな」
「だってオレ、寒いの苦手だし」
「俺の知ったことか」
 クロスの指がティキの指に絡まる。冷たい指に絡まる冷たい指。冷たさで凍りついて離れなくなってしまいそうだった。絡まったまま氷の彫刻のように固まってしまうのではないかと思うほどだ。握りこまれた手は冷た過ぎて痺れるような痛さが走る。
「寒い冬は人肌で温め合うって良く言うじゃん」
「貴様はノアだろうが」
「一応人間にも属してるって。でもさ、オレとお前じゃぁ、ちっとも温かくないから、損したような気がしねぇ?」
「煩いやつだな。放り出してやろうか?」
「あ、その台詞、結構本気だろう」
 気に入らないとすぐに放り出そうとするところは、お前も案外子供っぽいところあるよな。とティキが続ければ、クロスの指に力がこもった。指を絡めたまま爪が肌に食い込むように握りしめられ、シーツに強く押し付けられる。
「――サド」
「本当はこういうのが好きだろう?って台詞でも俺様に言わせたいのか?」
「あー、確かに似合いそうだな」
 想像してみたら似合い過ぎて笑いが込み上げてきた。
 握られたままの手は、痛みながらも少しだけ温かさを感じていた。

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白と黒と、それ以外 -Dグレ-

アニメのDグレでやっぱノアっ子好きだと再認識。
という訳でティッキャメというかキャメティキなSS。
我が家のティキは肝心な時に鈍感なので受けがデフォルト仕様です。



 黒には赤がよく似合う。深淵の底を染める闇のような黒さに、人から流れ出た血は暗く染み込み、境界が曖昧になって独特の色合いを生み出す。
 白にも赤がよく似合う。天使の羽のような白さに飛び散る血は、真っ白な世界に鮮やかな穢れを残し、決して混ざり合わない鮮烈な色合いを生み出す。
 今のティキは白と黒のどちらなのだろうか。そう思ってロードは横から顔を覗き込んだが、俯き加減のティキの頬には髪が零れ落ちてきていて、表情を隠してしまっていた。今彼の瞳はどんな色をしていて何を映しているのだろうか。額に刻まれた聖痕が彼がノアであることを示していたが、身にまとう雰囲気は酷く人間臭さを有していた。
 ロードにとって人間を殺すことに罪悪感などない。人間もエクソシストもアクマも、ロードにとってはどうでもいい存在だ。大切なのは伯爵と家族、それだけだ。それ以外のものなどただ欲求を満たすためだけに存在しているだけにすぎない。
 だがティキは微妙に違っていることは知っている。ノアでありながらティキには人間に対する嫌悪やエクソシストに対する憎しみがない。製造されたアクマを嫌い避けているところがある一方で、人間には愛しささえ感じているようだ。もちろん家族であるノアと伯爵は彼にとっても特別であるようだが、同じように人間の家族も大切に思っている節がある。
 ノアでありながら人間を愛しみ、人間を愛しみながら手を下す。
「ティッキ?」
 辺りを染めている血を踏まないように近づきながら声をかけた。今履いている靴はティキと同じデザインで揃えたもの。気に入るデザインで二人共のサイズがあるものなど滅多にないから、これは汚したくないのだ。撒き散らされた血で汚すなど論外。
 ティキが相手を殺す時は傷一つ付けないが、周りでアクマが人間を食い散らかしたために辺り一面血の海だ。そのせいで、ティキの靴は無事だったが頬には血が飛び散っている。元凶であるアクマは先ほどお仕置きを済ませたが、こうやって正面から見ると軽い苛立ちがロードの胸に蘇ってきた。
 ティキに血の色は良く似合う。白い時でも黒い時でも良く似合う。世界を塗り変えていく血の赤も、世界を少しだけ汚す飛沫も、ぞくぞくするほど良く似合う。似合うけれど、それを見つめるのは自分だけにしておきたいと思ってしまう。
 ロードはティキの服の裾をつかんで屈まさせると、手の平で血を拭った。服が汚れることは何とも思わない。
「……あと、誰が残ってたっけ?」
「今日のお仕事はこれで終わりだよ?」
「そっ…か」
 本当はリストにあと一人残っていたことは知っていたが、構わずにそう答えた。ロードの言葉にティキは一瞬意外そうな表情を見せたが、視線が合うと短くそう返しただけだった。
「じゃぁ、帰ってメシでも食うか」
 金色の瞳が優しげに光る。細い指がロードの短い髪に触れる。けれど絶対に肌には触れてこない。頭をなでる仕草をしてくることはあっても、頬や手に触れてくることはない。ロードからティキに触れに行かない限りは。
「今日の晩御飯は目玉焼きハンバーグだってさ?」
「……え? もう三日連続だぜ?」
「ティッキーが味もよく知らないのに別の店の方が美味しそうに見える、って言ったから伯爵が意地になって作ってるんだよ?」
「マジで?」
「うん、マジで」
 本気で怒ってることね、と情けない顔で呟く。
 怒らせるのが嫌なら発言をもう少し考えればいいのに、考えるよりも口に出てしまうからだ毎回こうなるのだ。半分ぐらいは伯爵もティキをからかっているだけだろうけど、助け船を出すつもりはロードにはない。困っているティキを眺めるのは嫌いではない。というより、
「好きだよ」
「――――――――へ?」
 長過ぎるぐらいの沈黙の後に返ってきたのは間抜けな顔。
 にっこりと笑い返して、ロードは屈んだままのティキの頬にもう一度触れた。少しだけ頬が強張るあたりなど、どちらが年上かわからない。平気で女性を口説いてお楽しみすることも珍しくないくせに、ロードの前では何故かこの反応。身体の大きな子供という印象だ。
「ティッキーが困ってる顔、面白くて好きだよ」
 意地悪く笑い声を追加して、ロードは踵を返した。そして背中越しに、ほっとしたような溜息が聞こえてきたことに、もう一度微笑んだ。

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うわぁ

Dグレのアニメにティキが出てきてかじりついてしまいました。あぁ、やっぱりティキ、愛おしいよ。早くジャンプの方にも出てきて欲しいです。
あと、EDの絵って変ったんですかね?何気に見てたらエロいティキが画面に登場したので卒倒しそうになりました。あれはエロい。スタッフ、グッジョブだ。良くわかってる。放送コードに引っ掛かりそうな色気を感じてしまいましたよ。

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あの日、と呟く -バシュバル-

年明け最初のSSがこんな感じ。バシュバルチョイスは去年に引き続きN野様にブレイブを送っているからです。別名プレッシャー。自分がちょっと軽くなったからと他人さまに迷惑をかけるのが目的(笑)。


十年前のあの日、それは心臓が止まった日だったといっても過言ではない。あの時のことを思い出せば今でも手が汗ばみ、けれど全身の血液が凍ったような寒気を抱き、心臓が早鐘を打ち呼吸ができなくなる。
思い出したくもない感覚だ。だがあの瞬間ほど彼のことで満たされた瞬間はない。自分でも度し難いことだとは思うが「失って初めて気づく」などという、小説で使われているようなフレーズがお似合いだった。
油断していた。昨晩まで腕の中に抱きしめていて、つい先ほどまで決着をつけて生き残ったことに安堵していた。その瞬間が一番危険なのだと数多の経験で知っていたのに、失いたくないものを奪われる事態は去ったのだと、勝手に思い込んでいた。そうやっていくつものものを失ってきたというのに、また、間違えたのだ。十年前のあの時。
バッシュは無言のままジャッジの兜を脱ぎ、ベッドの上へと転がす。空気の入れ替えのために僅かな隙間が開けられたままの窓から冷たい夜風が入り込んできて頬をなでていく。外気は雪混じりの風を運ぶほど冷たいが、鎧に身を包んだままの身体には心地良い温度だった。軽く通気性も考えて作られている鎧ではあるが、素肌や素顔を曝して旅をしていた頃と比べると窮屈感があるのは致し方ない。
それに鎧だけではなく「ガブラス」の名も被らねばならない身だ。執務が終わった後とはいえ、普段は容易にバッシュに戻れる訳ではない。自分で決めた道であるから後悔などはしていないが、年に一度、この日ばかりは閉じたはずの心の鍵が緩む。
鎧を着たままテラスへと続く窓を押し開いた。窓際のテーブルにはワインと2つのグラスが用意されている。予めバッシュが用意させておいたものだ。最初はグラスを2つという注文に不思議な顔をした使用人も、毎年のこととなると何も問い返しはしなかった。
何のために用意されているものなのか薄々感づいてはいるのだろう。あの日はバッシュ達だけではなく多くの者たちにとっても運命の日だった。今日という日を考えれば、差し出がましくない程度の推察は容易に付くだろう。それに指定しなくても用意されるワインがあの年のものであることは、口には出さないが有難かった。
グラスにワインを注ぐ。
最初にテーブルに置いたままのグラスに、そして次に自分の手元のグラスに。ちょうど同じ量だけ注ぐ。そして少しだけ持ち上げて口に運んだ。
「あの日、私が止めていたらキミは何と言っただろうか」
呟いた言葉はグラスに注いだワインの中に溶け込んでいく。普段飲み慣れた味が妙に苦く感じるのは毎年のことだ。不思議とこの感覚が弱くなることはない。後悔、と名付けてしまうにはあまりにも大きく不可逆な分岐点。
「アンタ、よく飽きないな」
そう、バルフレアは言う。
過ぎたことを悔やんでも何も変わらない。もし止めていたとしてもバルフレアの性格を考えればバハムートに飛び込んで行っただろう。バッシュが共に行くと言ったとしても、鼻であしらわれただけだろう。助けに行ったとしても、見事な蹴りで追い出されたことだろう。
わかっている。わかっているけれどもこの日ばかりは考えてしまう。もしあの時、と。
「……今日ぐらいは許されるだろう?」
「勝手にすればいいさ。ただ、毎年毎年よく飽きないものだと感心してるだけだ」
グラスを下ろして室内を振り返ると、彼はベッドの上の兜を持ち上げた。
「それとも俺への当てつけか?」
「当てつけられるような心当たりが?」
「ないと答えたいところだが、毎年毎年同じことをされてりゃぁ、残念ながらあるとしか言いようがないだろうよ」
ヘイゼルグリーンの瞳でバッシュを捉えると、肩を竦めて見せた。他愛もない動作のいちいちが計算されつくしたように様になっているが、彼のその動作も毎年同じだということを気付いていいるのだろうか。まさかとは思うが、けれど彼のことだからわかっていて毎年同じ反応を返してくれているのかもしれない。口では付き合いきれないと言いながらも、バッシュの感傷に合わせてくれているのかもしれない。
「本当にあの時、私は心臓が止まるかと思ったのだよ」
「毎年聞いてる」
「バハムートは損傷が激しく捜索も不可能だった」
「それも聞いた」
「それから私が一体どんな思いで――」
「そいつも何度も聞いてる。だから、」
強めの口調がバッシュの言葉を遮ったが、視線が合うとゆっくりと笑った。
「だからアンタの所に会いにきた。そして会いに来てる。それのどこが不満だ?」
「すべてだ」
「すべて?」
「キミは昔から私の思い通りには動いてくれなかった。それなのに今は私の望んだ状況がここにある。それが――不満だ」
合わさった視線に吸い込まれそうになる。二度と触れられないと思っていた肌が目の前にあり、手の届かない空を飛び続ける姿が地上にある。失われたはずの美しい瞳がバッシュを捉え、歌うように優雅な声が鼓膜をたたく。望んでも手に入らないはずのものが、今ここにある。これ以上ないほどの満足と、これ以上ないほどの不満と共に。
「アンタ、贅沢だな」
「そうかもしれない」
「俺が断言してやる。アンタ、贅沢過ぎるぜ」
「あぁ」
「それはな、不満じゃなくて不安だ。違うか?」
きっとバルフレアの言う通りなのだろう。望むものが与えられている瞬間。それを手にする資格が自分にあるのかわからず、揺れ動いてしまう。資格などないと言われても、手にしないなどという選択肢などどこにもないというのに。
「そうだな。私は不安、なのかもしれないな」
靴音を鳴らしながらベッドに歩み寄る。見上げてくる瞳はずっとバッシュを捉え、口の端に浮かべられたシニカルな笑みもあの旅の時から変わらない。何も変わらない。ずっと変わらない。十年たっても鮮やかな記憶と完璧に重なり合う。
「こうしてキミに触れるこの瞬間、長い夢が覚めてしまうのではないか、とね」
「訂正。アンタ重度の我儘だ。俺が保証してやる」
夢が覚めるのが怖ければ触れなければいい。触れたいのであれば夢が覚めることを怖れず触れればいい。どちらの選択肢も手の中にあるはずだ。自分自身で選べばいい。望むのは夢か現実か。曖昧な世界か鋭利な世界か。
朗々とした声に耳を傾けながら今年もまた、艶やかな姿へと手を伸ばすべきか否か、答えなど見つからない逡巡に身を浸した。


暗いのか明るいのかは皆様にお任せします。
これでも一応は閲覧者様に配慮した話にしたつもり…たぶん。

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明けましておめでとうございます

七草粥を食べる時期になって新年のあいさつ…。
ブログもサイトも凄まじい放置っぷり、すみません。

でもようやく切羽詰まってたアンソロの原稿が完成しました。最高のスランプとごたごたリアルに揉まれましたが、無事期限内に出来上がって私が一番びっくりしています。いや、本当にごめんなさいするしかないかもと思ってましたので。締め切り前は普通に12時間以上PCに向かって書いてましたが、書いても書いても納得いかなくて泣きそうでしたし。
一つ良かったことは、こんなにしんどいのに書きたくないって思わないぐらい、自分はSS書くのが好きなんだなぁって再認識したことぐらいですかね。もちろん、それと文才があるかは別問題なんですけどね!

まぁ、それも何とか山は越えたので、のろのろと今年の活動を始めたいと思います。今年も鈍足活動になることが目に見えてるんですけどね(汗)。

で、以下はバトン回答。名無しバトン?

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