運命の果てまで

テイルズ(V/G/A/S-R/D)・FF・Dグレなど、ゲームやマンガに好き勝手萌える腐ログ

2006年12月 | ARCHIVE-SELECT | 2007年02月

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Stranded -バルヴァン-

FF12のバル→ヴァン→バシュの恋話…の予定。予定は未定。未定は希望的観測。実際のところは神様もわからない代物。
寛容で寛大な方だけお楽しみ下さいませ。



無意識のうちに手を伸ばし、ヴァンの口の端についてたジャムを指で拭う。

自分でも頭が痛くなるくらい何も考えていない行動だったので、隣に座っていたフランがテーブルの下で足を小突かなかったらそのまま指を口に入れてしまっていただろう。幸いにもまだ修正のきく状態だったために、指を口へと運ぶことなく手元のナプキンへと軌道修正できた。
ほんの少し気を許しただけで自分の行動は理性の制御から離れる。一瞬の隙で主導権を奪われてしまう。そして性質の悪いことに自分自身がその状況を望んでしまっている。まったくらしくない。

視線を落すと鮮やかな赤と甘い匂いにくらっとする。
白いナプキンについた果肉の入ったストロベリージャム。

「な、ななな、何するんだよっ」
「………声が上擦ってるぞ、ヴァン」
「バ、バルフレアが妙なことするからだろう!そんなのは女の人相手だけにしろよな!」

まったくわかってないな。
寄ってくる女相手にそんなことする訳がない。ジャムを口につけるような女は願い下げだし、甘いジャムを口にするぐらいならさっさと身体の方を頂いている。赤くて甘そうなジャムに目がいったのは、自分の欲求が満たされないで甘さに飢えているからに他ならない。

おまえを喰わせろ。
抵抗があるならおまえが俺を喰ってもいい。

幸いにも俺は喰うのも喰われるのも慣れているからどちらでも問題ない。この飢えた欲望を満たせるのならそれこそ瑣末事だ。俺のは前にしろ後ろにしろ、おまえと一緒にならせろと疼き暴れて手がつけられなくなりそうだ。
ガキだろうが馬鹿だろうが関係ない。そんなことで抑えきれるものならとっくに世界海溝よりも深い海の底に沈めてやっていたのに、欠点を腐るほど並べてみても自分の中の欲望は一分一秒毎に大きくなっていく。

「何赤くなってんだ、おまえ?」
「恥ずかしいことバルフレアがするからだろう!」
「おいおい、俺はお子様を喰う趣味はねーぞ」
「誰もそんなこと言ってないだろう!朝からそんなこというなよな!―――あ、バッシュ!」

遅れて降りてきた足音に、こちらに向けていた不機嫌な表情を一瞬で掻き消して振り返る。
青い瞳が楽しそうに細められている。
まだ汚れの残ってる口が嬉しそうに笑っている。


無意識にジャムを拭った指を噛む唇。
口の中だけが甘過ぎる匂いに包まれた。


基本的にバシュ←ヴァン←バルな関係。バルの報われない恋っていいよね!<サイテー
恋は自分だけで閉じていればたまらなく甘いけど、相手を求めると苦いものというイメージ。バル超乙女物語。断続的に続いたりします。
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見慣れ過ぎた -TOD-

ごめんなさい。やっぱり頭の中がデスティニーまみれになっているようです。ディムロスがずっと居座ってるよ(汗)。

何となくレンタル見てたらデスティニー2のドラマCDが!あ、これオリジナルのディムロスがでてくるところ収録されてる!と思ったらつい借りてしまいました。まだストーリーそこまで進めてないのに。でもTOD2はストーリーぶっちゃけられているのでまぁいいかと思って聞いてみたら……何これ?!4巻はディムロス主役!?ってなぐらい格好良かったです。LOVE置鮎ボイス。渋過ぎるぜ。熱血漢のくせに軍での立場と責任で自制してるとことか素敵過ぎ。あと、敵にやられて吐血してる(音だけだから定かではないけど)とことか萌えちゃう。いいよいいよ。そういうの大好きー。1000年前のソーディアンチームって超ラブくていいよね!PS2版プレイしてるけど、下手したらPSP版も買ってしまうかもしれない……。ディムロスを携帯したい!(何か違う……)

そんなわけで皆さん、テイルズ オブ デスティニー(PS2版)←取り合えずこれで簡単アクションRPGを楽しむべし。そして2/15発売のテイルズ オブ デスティニー2 特典 ドラマチックDVD - ピーチグミ篇-付き(PSP)を買ってソーディアンチームに萌えるべし。あ、でもPSPない人&節約希望の方はテイルズ オブ デスティニー2 Best(PS2)でも問題ないと思う。そして私とディムロスについて語ってくれ!

誰も聞いてないと思うけど地上軍の中ならイクディムかリトディムかハロディムがいいと思う。やっぱ強気で生真面目ででも優しくて部下に絶大な人気がある上司、っていったら受けですよ!(激しく個人的意見)いや、受けてなくてもいいけどさぁ……。このCP、検索に引っ掛からない(汗)。リトディムなんてヤフーで検索しても3件しかヒットしないし、グーグルなら0件ですよ。イクディムでも20件。これを書いたら超マイナー街道ってことですか。そうですか……。


以下、自分のためだけにイクディムもどき。
生身(笑)のソーディアンです。リメTOD&TOD2設定。

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静かな時間 -ヴァンバル-

「馬鹿は風邪を引かないっていうのは嘘だな」

嫌味というには淡々とした口調で言い放たれて、ヴァンは目だけをシーツから出して恨めしそうにバルフレアを見上げる。だが相手はそんなヴァンの様子など一向にお構いなしで、腰に手を当てて大仰に溜息をついてみせる。

「病人にその言い方、酷い」
「馬鹿に馬鹿って言うことのどこが悪い。だいたい、この寒い季節に不注意で足を滑らせて川に落ちるおまえが悪い。しかもあれだけ言ったのにちゃんと髪を乾かさないで寝たら風邪を引くって、そんなこと5歳のガキでも気がつくことだろうが。おまえの頭はそれ以下だ」
「うー、そんなにガミガミ言わないでよ。頭が痛くなる」
「何だ?次は知恵熱でも出そうか?まぁそっちの方がおまえらしいけどな」
「……こんな時ぐらい優しくしてくれてもいいのに」
「俺が看病してやってるんだ。十分な上におつりが返ってくるぐらいだと思うがな」

そう言うと脇に置いてあった椅子をベッドサイドに引き寄せて腰を下ろし、嫌味なぐらい長い足を組んで肘を付き、もう一度溜息をつく。

悪いってのはわかってる。昨日のことも足場が悪いからって注意されていたのに落ちたのは自分だし、面倒になって濡れたまま寝たのも自分だ。しかもヴァンの熱で出発が延期になったことで機嫌を悪くしていたアーシェを、バルフレアとバッシュが必死に宥めていたのも聞こえていた。バルフレアが溜息をつく理由も不機嫌になる理由もあり過ぎるぐらいにある。

「――バッシュたちは?」
「バッシュとフランとアーシェはモブハント。嬢ちゃんは何か栄養になるようなものを作るって、街に買出しに行ってる」
「アーシェが自分からモブハントするなんて珍しいなぁ」
「『今日は何故かムシャクシャするからモブにでも八つ当たりしてないとやってられないわ』だそうだ。今日のモブには少しばかり同情するな」
「やっぱ、俺のせい、だよね?」
「他に何の理由がある」

こんな時「そんなことはない」なんて甘い言葉は決して言ってくれない。それどころかいつも以上に口調が辛らつになる。

「で、バルフレアは?」
「馬鹿の見張り」
「せめて看病って言ってよ」
「見張りだ。また馬鹿が馬鹿なことして風邪をこじらせないようにな」
「また馬鹿って――」
「おまえが自分の行動で馬鹿でない部分を3つ以上言えるんだったら言わないでおいてやるが、現状では無理だ。だから馬鹿は馬鹿だ」

容赦ない。けどそんな言葉の裏に剣呑さはこもってないから、本気で心配してくれての言葉だってわかっている。本当にどうでもいい相手に、バルフレアはわざわざ言葉をかけたりしない。気に入らなければ必要最低限以外のことを口にしたりしないのだ。

そう考えて黙り込んでいると、冷たい手が額に下りてきた。そっと包み込むように触れられると、その冷たさがじんわりと染み込んできて心地良い。冷たいのに温かさを感じられる。

「また熱が上がってきたな」
「冷たくて気持ちいい……」
「おまえの額が熱いんだろうが、馬鹿」
「あ。また馬鹿って――」
「いいから少し寝ろ」
「…………うん」

あまりにも気持ち良くて離れたくなくて、このままずっと触れていて欲しくて、額のバルフレアの手を掴む。もちろん離せと言われたけど嫌だって答えたら、あからさまな舌打ちが返ってきた。

けどそれ以上の反応はなくて、意識が熱に取り込まれる瞬間まで、バルフレアの手は確かに額の上に添えられていた。


恒例の看病ものです(笑)。
バルフレアは口は悪いけど病人には案外甘いと思う。

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いつもの一幕 -ルーネス×イングズ-

目の前で銀の髪が揺れている。

黒い兜から流れる髪は、身に纏う暗黒の鎧と妙にしっくりする鈍い銀色。その漆黒のような姿は、クリスタルから得た力であるというのにどこかぞくりとする雰囲気を拭えなかった。闇の力に近い、それでいて闇そのものと呼ぶには複雑な。

「ここら辺の敵は面倒だよなぁ」

姿の重々しさとは正反対の軽い声。
くっと口角を上げて、瞳は悪戯前の子供のように輝いていて、ここが今どこで自分たちが何をしているのか忘れそうになる。陽だまりの中で遊ぶ子供のように無邪気で、獲物を狙う獣のように鋭くて。

イングズの心中を知ってか知らずか、ルーネスはそう言いながら武器にこびりついた血糊を吹き飛ばす。
握られているのは独特の形をした剣だ。やや弓なりになった刃はルーネスの髪と同じ色で、曇り一つなく鈍い光をたたえている。分裂を繰り返す魔物を一刀両断にすることの出来る唯一の武器。

「あぁ。だが道は崩れていないようだし、入り口まで戻って早くアルクゥとレフィアと合流しよう」

進めそうか調べる為にここまで二人できたのだ。これ以上二人で進むのは危険だし、本格的に進むのなら合流しなければならない。
だがルーネスは首を右に少し傾けて、もの言いた気に瞳を細める。だが顔全体を覆う兜を被っているから細かな表情までは読み取れない。どうしたのだ、と一歩踏み出した瞬間、弓なりな刀がイングズの頬を掠めるように突きつけられてきた。
風を切る鋭い音が鼓膜を叩き、そのまま真後ろにあった壁に突き刺さる。ばらばらと細かな石屑が飛び散り顔に降り注ぐ。

「――――ルーネス……」
「あれ? ビックリしなかった?」
「……おまえの悪ふざけにはそろそろ慣れた」
「なーんだ、残念」

突き立てられた刀の先は壁を伝う蛇の頭を的確に捉えていた。丁度中心を捉えた刃先。
いつものルーネスの悪戯だ。本物の殺気を宿した切っ先で、誰かの後ろに近づいていた魔物を捉える。予告も忠告もなしでやるものだから何度目だろうと心臓に悪い。

「だがいい加減にしてくれ。寿命が縮まる」

ルーネスの悪戯にアルクゥは本気で怖がるしレフィアは本気で怒るし、という訳で最近はイングズでするのが日課のようになっていた。もう条件反射すらしなくなっている。

「そのわりには平気な顔してるけど」
「何度もするからだ。それに……」
「それに?」
「おまえのことは信頼している」

その切っ先が魔物を切り裂くことはあってもイングズを傷つけることはない。そのことを疑う気持ちは微塵もなかった。以前アルクゥとレフィアにそう言った時は認識を改めた方がいいと忠告されたが、それでもイングズは確信していた。「自分がルーネスに傷つけられることはない」ということを。

「――本当に?」
「事実おまえはどんな武器でも使いこなすだろう」
「まぁ剣の腕には自信あるけど、そんなに信頼されると俺、恥ずかしくて切っ先が逸れちゃうかもよ? 別のところに刺しちゃうかも」
「どういう意味だ?」
「……べーつに。言葉通りの意味」

そう言ってさっさと前を歩き出した。釈然としないながらも小走りにその背に近づき、歩調を合わせて歩き出した。何かを含ませたような言葉はいつものことだ。だが、

――あんまり無防備だと、困るなぁ

呟くルーネスの言葉の意味はやはりわからなかった。

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優しさはいらない -ヴァンバル-

自分でボトルを傾けてグラスにお酒を注ぎこむ。それはいつも部屋でよく見る光景だが今日は少しだけ違った。

いつもの赤ワインではなくウォッカを、味を楽しむようにではなく煽るように次々と身体に流し込んでいく。そう、それは飲むというより身体という器をアルコールで満たそうと躍起になって注ぎ込んでいるかのような行為だった。
その自傷行為にも近い飲酒が三本目のボトルに突入しようとした時、堪らずヴァンはその手を押さえた。

お酒を飲むのを止めるつもりはない。酔い潰れたいというのならそれも構わない。けれど今日の飲み方はお酒を知らないヴァンにも常識ハズレなものであることはわかった。それに十分過ぎるぐらいのアルコールを注ぎこんで隣の部屋でも酒臭さがわかるほどなのに、バルフレアは少しも酔った様子を見せていなかった。このまま飲み続けても恐らく酔いはしないだろう。

「――離せ」

剣呑な声だったが力はこもってなかった。ヘイゼルグリーンの瞳は据わっていたが薄暗く濁っていた。苛立っていたが弱々しかった。だから何も言わずに、そっと手を離した。
けれどバルフレアの手はヴァンが押さえていた時のまま、じっとテーブルの上に置かれたままだった。まるで縫い付けられたみたいにそこからピクリとも動かない。時間が止まったように。

視線はボトルに向けられたまま。だがその瞳に映っているのは琥珀色の液体ではなく、バルフレアの目の前で消えていった人の姿なのだろうと思う。そう言っても否定されるだろうがわかっている。皆の前では至って普段通りの表情と行動を変えなかったけど、だからといって何も感じてない訳がない。

ピシッと室温で氷が割れ、カランとグラスを叩く音が響く。

まるでそれが合図だったようにバルフレアはまたグラスに酒を注ぎこむ。水流で氷が動いて、不似合いなほど透明な音を部屋中に満たしていった。

バルフレアはヴァンから逃げるように視線を窓の外へと向ける。外はまだ店の明かりが派手に灯っていて、ごった煮の騒がしい街を作り出している。この部屋と対照的な、生きている人間の欲望と快楽と生命力に満ち溢れた光景だ。
だが外を見たままグラスは一向に口へと運ばれない。ただ所在なげにカラカラと手の中で揺らされて氷の音を響かせているだけだ。一定のリズムを保ちながら、喧騒の中に沈みこんだ静かな室内に、澄んだ音だけが変化をもたらしている。

慰めの言葉なんて思いつかない。バルフレアもそれを望んでいない。ヴァンとバルフレアの間にそれは必要ないものなのだ。どれだけその背に言葉をかけたかったとしても、どれだけその背で言葉を待っていたとしても。
慰めの言葉を交わせば、二人の間にある全ての感情が同情へと変わってしまうだろう。どれだけ大きな熱い感情も、ぬるま湯のような「同情」に飲み込まれてもう元には戻れなくなってしまうだろう。

だから黙って見ている。
胸の中に強くあるものは優しさではなく、残酷なほど強い愛だけだから。身勝手でも構わない。傷ついていても構わない。傷を塞ぐ為に愛を捨てて同情を注ぐことなどできない。傷口を広げるしか出来なくても、注ぎ込みたいのは愛だけだから。

「――ごめんね」

優しくなくてごめん。
慰めてあげられなくてごめん。

「バルフ――」
「今すぐ」
「――えっ?」
「今すぐ、大量のヒョウでも降ればいい」
「…………」
「馬鹿騒ぎしてる街の連中の大慌てした顔が見られるし、それを肴にここから馬鹿笑いしてやれる」
「――――うん」

そうすれば、少しは気が晴れる。
そうすれば、この空気を振り払うことが出来るはず。

氷に薄められていく酒のように、強い悲しみも苦しみもやがて薄まっていくのだと自分に言い聞かせていた。


大灯台後です。
痛みにまみれていても欲するのは愛情だけだから、居心地のいいぬるま湯の同情を交わすことを堪えている二人。バルフレアって自分の感情に付ける名前に拘りそうだと思います。

ヴァンはわかってて同じようにこだわってあげればいい。バルもヴァンがわかっているのだと知っていて、敢えて見えていないフリをしていればいい。

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不自由ささえ -バシュバル-

今日のSSはバシュバルで、1/12&13にUPした『不便になってく心・前』と『後編』のバルフレア視点です。未読の方はそちらもごらん頂ければ繋がりが幾分はわかりやすい…と思います。

『どうして今日はそんなに苛立っているのだ?』


いったいどんな思考回路と神経をしてたらそんな台詞が言えるっていうんだ。しかも本気で思っているらしく、ピクリとも笑わない真顔で言うものだから、笑うところなのか怒るところなのか呆れるところなのかわからなくなりそうだ。
勿論ここは俺の中では怒っても許される場面だが、少しだけ怒気を飲み込んで精一杯冷静な声で問い掛ける。

「アンタ、それを俺に本気で言ってるのか?」
「私はいつでも本気だよ、バルフレア。気に入らないことがあるのはわかるが、それほど感情的になるのは君らしくない」
「その台詞、自分の胸に手を当てても言えるのか?」
「ん? どういう意味だね?」

こいつは本気で本物のとんでもない馬鹿か?自分で言うのもなんだが今のはわかりやす言ったつもりだが、思い込んだら他の思考の割り込む隙はないらしく、バッシュは一切疑問に思わないようだ。

俺が苛立っている? あぁ、確かに苛立っている。だがそれは俺のせいじゃない。自分は常に普段通りだというような顔をしながら、そのくせ少しも普段通りではない、このバッシュ・フォン・ローゼンバーグ将軍様の態度に苛立っているのだから。

原因なんか考えるまでもない。酒場で会った一人の男だ。
昔行きつけていたバーで歌っていた男がこの街でふらりと入った店にいた。そして俺も相手も互いのことを覚えていた。それだけだ。歌手と客の挨拶と社交辞令。たったそれだけのことがこの男には気になってしようがない、ときてる。

気になるなら質問してみろ。
気に入らないなら言葉に出して言え。
それができないならつまらない嫉妬を抱くんじゃない。

「さっさと離せ」
「嫌だ。それはできない」
「――ガキか、アンタは」

まったく馬鹿馬鹿しい。一人で勝手に気にして、想像して、気に入らなくて苛立っている。そのくせ自分では気がついていない。まったく、子供だってもう少しマシな反応を返すだろうに。

「それでもだ。君を行かせたくない」

一瞬捕まれた腕の痛みを忘れそうになる。
妙に澄んだ瞳の奥が真っ直ぐと見て取れる。正面から覗き込むと瞳の色が淡く澄んでいて、戦闘中の殺気を宿した瞳とはまた別のゾクゾクとした感触が駆け上がってくるようだ。

「それはアンタの都合だ。俺の邪魔をするな」
「わかってる。だが嫉妬で狂いそうだ」

そうだった。アンタは肝心なことを良くすっ飛ばして一人で勝手にゴールに飛び込んじまうような奴だが、そうやって馬鹿みたいにストレートな言葉を不意打ちで繰り出してくる。しかもスマートじゃなくて泥臭いアンタのイケテナイ言葉は、そのくせ俺にいつも突き刺さる。
空を飛びたいと願う俺を、簡単に地上につなぎとめる楔だ、アンタは。そしてそのことをどこかで待ってしまってる俺はもっと馬鹿なのかもしれない。

――あぁ、クソッ。やっぱり今日の苛立ちはアンタのせいだ。まったく、笑うしかねぇじゃねぇか。


ようするにバッシュに対して、「独占欲を抱くなら言葉に出して欲しいって言えよ、という思いを言葉に出来なくて苛立っていたバルフレア」です(長い)。
バルフレアはバッシュの前ではわかりにくい我儘になればいい。

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「叶う」「叶わない」 -ディムスタ-

今日もTODのディムスタで。

砂を吐きそうなほど甘ったるいだけの意味のないSSですが、まぁ笑って許してやってください。現在私の頭の中は色々なものが醗酵し過ぎているようです。



「叶う叶わない叶う叶わない……」
『さっきから何をやっているのだ、スタン』
「占い」
『占い?』
「うん。ルーティが教えてくれたんだ。花びらを千切っていって、最後の一枚が「叶う」だったら願い事は叶うんだって」
『非生産的だな』
「そんなこと言うなよ。ルーティはアトワイトに教えてもらったって言ってたぞ。ディムロスだって昔、聞いた記憶あるんじゃないのか?」
『聞いたことがあるような気もするが、興味がない』

占いに興味がないというのは至ってディムロスらしい。スタンもそれほど占いに興味があったり信じていたりする訳ではない。
だが面白そうだと口に出した瞬間にルーティに花を押し付けられてしまってはやらない訳にはいかない。というかやらなければならない使命感(?)のようなものを抱いてしまったのだ。

『で、何を占っているのだ?』
「…………秘密」
『なぜ秘密なのだ』
「それを言ったら秘密じゃなくなるだろう」
『言えないようなことなのか?』
「いいだろう!」

スタンは真っ赤になりながら口をつぐんだ。別に特別何かを意図して占っているのではないが、聞かれると恥ずかしさが込み上げてきた。言える訳がない。本人を前にして。

――ディムロスとずっと一緒にいられますように

そんなことを願いながらやっているなんて、口が裂けてもいえない。馬鹿にされるのは確実だったし、そんなことを不安に思っているなんて知られるのはもっと嫌だった。

「叶う叶わない……」
『本気で全部するのか?』
「だって全部しないとわからないってルーティが……」
『個人的意見だが、騙されていると思うぞ、スタン』

スタンの手にはまだたくさん花びらの残っている白いマーガレットがある。左隣には花びらのなくなった花が5本、そして右には同じ花が14本。つまり合計20本。

『どう考えても多過ぎるだろう。はっきりは覚えてないが、少なくとも花は1本しか使わなかったように思うぞ』
「え? もしかして嘘なのか!?」
『そういう占いがあるというのは本当だろうが、少なくと――』
「――って、あぁ!」
『? どうした、スタン』
「……忘れた」
『忘れた? 何のことだ?』
「今の花びらがどっちだったか、忘れた……」
『………………はぁ』

ディムロスと話していて、今引き抜いた花びらが「叶う」だったのか「叶わない」だったのかすっかりわからなくなってしまった。せっかくここまでやったのに。そう言いながら項垂れると、花びらに半分埋もれたディムロスは溜息をついた。

『良かったな。後14本の責務から解放されたと思え』
「――そうだけど……」
『それにもう遅いぞ。さっさと寝ろ』
「……うん」

花びらを振り払いながら立ち上がり、ディムロスをそっと壁に立てかける。当たり前だが、抱えて寝るわけにはいかない。眠る時間の訪れは、暫く離れる時間の訪れでもある。

「――――あっ」
『ん? どうした?』
「いや、何でもない」
『?』

いつもならすることがなくなってすぐに寝ろといわれていたが、今日は黙ってディムロスは付き合ってくれていた。いつもよりも長い時間。


もしかしたら最後の花びらは「叶う」だったのかもしれない。


何この乙女モード全開スタン(汗)。
ちなみにきっとこのSSは笑うところだと思います。

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夢より確かな -ディムスタ-

ディムスタ書いてると幸せです。
そのわりにEDネタ絡みで暗めの話が多いってのはどうなんでしょうって感じですが。

クリア特典のボイスデータは毎日聞き返しています。ディムロスの声が全部渋くてメロメロです。でもその中の「止めろスタン。暴走してしまう(うろ覚え)」ってボイスがどこに使われたものかわかりません。ゲーム中で聞いた記憶がまったくないんですよ。誰か知ってたら教えてください。
ちなみに一番好きなのは「スターン!」って叫ぶボイス。ラブラブだよね、ディムロスとスタンって。

↓EDのネタバレありです。

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せめて届きますように -ディムスタ-

FF目当ての皆様方すみませんー。
そしてTOA目当ての方もすみませんー。

読んでくださる方がいらっしゃるから運営できてますのに、日頃のご恩も忘れて自己中心趣味モード全開で申し訳ない。開き直って今週はTOD週間にしてしまいます。ディムロス×スタンばっかりで(まぁディムスタかスタディムなのか微妙なCPですが)いきます。

しかも暗い話ばっかりでさらに申し訳ない。
TODを読んでくださる方は本当に心の広い神様です。もし少しでも気に入って下さいましたら名前もアドもなくてもいいです。長文でなくても結構です。ディムスタいいんじゃねぇ?と一言頂ければ泣いて喜びます。

同士様、いませんか?
この世の中にいますよね、このCPが至上だって方!

そんな訳で宜しければ続きを読むよりどうぞ。
EDネタバレです。

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少しだけ違う日々 -TOD-

今日のSSもTODでディムスタ。

ディムスタだけどディムロスもスタンも出てこなくてリリスの一人語りです。リリスはスタンを見守るしっかり妹。スタンは迷惑かけないように日常を送りながらも、まだ完全に前に進めない状態。
例によってEDネタバレなので、未クリアの方、暗い話が嫌いな方は自己回避お願いします。

興味のある方は続きよりどうぞ。

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そして世界は救われた -ディムスタ-

やばいなぁー。
一度書き出すと止まらないんですよね、こういうの。

という訳で何故だか今日もTODのSSでディムスタです。EDのネタバレばっちりなので未クリアの方はご注意下さい。いやぁ、需要がないってわかってるんだけど書きたくてたまらないんですよねー。バシュバルもヴァンバルもスレルクもネタは出来てるのに、書く段階になるとどうしてもデスティニーを優先しちゃうんですよ。ごめんなさい。

あ、1/13にリク下さったsin様。リク受け付けました。が、少し待ってくださいませ(汗)。今月中には単独SSで書かせていただきたいと思っておりますので。

そんな訳で幸いにも興味を持ってくださった方、続きを読むよりどうぞ。

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インテ行ったよー

今日の分のSSは一つ前の記事です。
ジャンルはTODでディムスタ。……ごめん。今本当にこのCPを書かないと死んじゃいそうなほど飢えてるんです。同士様いましたらご連絡下さいませー!


で、昨日は皆様お疲れ様でした。
今年初のインテは何とか間に合いました。

朝6時から動き回って12時に終了。阪神高速ぶっ飛ばしてインテックスに1時前に滑り込みました。こんな時ターボ車っていいよね、とかニンマリ呟いていたのは内緒。普通に制限速度を守って走る分にはそんなもの必要ないはずだとかいう突っ込みもダメ。でもスタッドレスだから無理はしませんでしたよ?

冬コミ後のインテってことでやっぱすごい人でした。実は何回かインテは行ってるけど1月開催のインテに行くのは初めてだったので2?6号館使っての開催には圧倒されました。すごい。どこもかしこも人・人・人。でっかい鞄やキャリーバッグがいっぱい(笑)。
自分が買い物するのも大好きなんですが、こうやって趣味に没頭している人たちの中にいるのって結構好きです。お祭り気分ってのが楽しいんですよね。あのCPがどーだ、あのサークルさんがどーとか、そういった話題に花咲かせてるのを聞くとはなしに聞くのとか好きです。問題点はやっぱり一人出回るのは少し寂しいということと、こういうところに長くいると自分も本を出したくなってくるということ(汗)。

お目当てのFF12本も無事ゲットできてホクホク。他にアビスとかすごいことなってたんだけど、手を出したら際限なく買い込んでしまいそうな予感がしたので眺めるだけにしておきました。アビスは好きCPが多過ぎて見るもの見るもの欲しくなってしまうから大変です。後は鋼とFF3と他のテイルズシリーズ見て回りました。まだ発売から時期がたってなかったのでデスティニーはほとんどなかったですが、アビスサイトさんが出してた奴を一冊だけゲットしました。これがすっごくクオリティ高くてビックリしました。本命CPじゃなかったけどオールキャラギャグ系だったので楽しめました。

本当に、昔に比べて皆さんのレベルがすごく上がってますよね。昔は少し絵が上手いってぐらいで目立ってたけど、今はどの方も総じて絵が上手いし見せ方も上手い。プロでしょ?!って方もたくさんいますし。だからどれを買ったらいいのか迷いまくるんですけどね。

という訳でちょっとテンションが上がって書きたい気分も上がった……んですが、仕事の方は半端ない状況(汗)。メールのお返事も出来てないし更新もガタガタなんですが、暫くこの状況が続きそうです。FFの長編、いつになったら手を付けられるのやら。そしてアビスの連載スピードもいつになったら上がるんだろうか。手を広げすぎて困った状況の上に、今一番手を付けたいのがジャンル外のデスティニーという最低ぶり。うーん、2007年も混迷の年になりそうです。

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もう叶わないけど -ディムスタ-

自分の萌えには忠実に、どれだけ同士が少なくても好きです、ディムスタ。

そんな訳で需要はどうなんだろうという疑問は置いておいて、今日のSSはディムスタです。そしてちょっと切ない系。ディムロスとスタンのCPだと深い精神的な繋がり&わかっていて気づかない想いっていう感じになってしまいやすいです。
残念なのはディムロスがスタンを抱き締める、とかいうアクションに出れない点ですよね。声は出せても剣だからなぁ。まぁ種族(?)の壁は厚いですけど障害は多い方が萌えるんですよ!

では、興味のある方は続きを読むよりどうぞ。一応EDまでのネタバレが含まれるので未クリアの方はご注意下さい。

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不便になってく心・後 -バシュバル-

明日はインテ!と思ってたのに午前中に用事が入って微妙な状況です。何で午前中なんだよー。用事が早めに終わったら即効でインテに向かうつもりですが、閉店(?)まぎわに滑り込み出来るかどうかというタイミングになりそう。車移動なんでどうなるか微妙なんですよね。

という訳で?今日のSSは昨日の続きです。何だかんだと短くまとめようとするから説明不足が甚だしい内容ですが……。



あの時の君の顔が忘れられない。

バルフレアが酒場で見知らぬ男に声をかけられることは別段珍しいことではない。顔見知りに出会う機会もあるし、その手の誘いはバッシュが隣にいるいない関わらず多い。だからその一つ一つに反応したり嫉妬したりすることも普段ならない。
気持ち良ければ誰とでも寝ると公言しているベルフレアだが、それでもバッシュといる時に他の誘いに乗ることはない。それが最低限の礼儀だと線引きしているようで、消える時はバッシュに嫉妬するタイミングすら与えてくれないぐらい鮮やかに消える。

それなのに酒場で声をかけてきた三人目の男にバルフレアは滅多に見せない笑みを浮かべた。バルフレアが一時期良く行っていた店で歌っていたという男は、男にしては高めの澄んだ声で流れるように優雅に「バルフレア」と発音した。
他の男たちのような誘いの言葉ではなく、ここでも歌っているから聞きにきてくれとだけ挨拶して去って行ったのも、何故か逆に神経を鷲づかみにされたような気分だった。

「綺麗な声だろ? 歌ったらもっと綺麗だぜ」

そんな説明を聞きたかったのではない。
バルフレアと寝たと言ってくるどの相手にも感じたことのない灰色の感情が燻っている。まだバッシュと出会う前に酒を飲みながら彼の歌声に耳を傾けていたのかと思うと熱が上がるのだ。彼は歌手でバルフレアはその歌声が好きだった、ただそれだけのことだというのに。


バルフレアの捨てゼリフに酒場での光景が蘇ってきて、咄嗟に出て行こうとするその腕を乱暴に掴んだ。それでもバルフレアは痛みに顔をしかめながら無言のまま振り払おうとするので、その動きを封じるように後ろ手に捻り上げる。

何をそんなに苛立っているのか。その答えはわかっていてけれどだからといってどうにもできない。身体でなく別のもので繋がっている男の存在に、年甲斐もなく嫉妬している。

「っ――。は…なせ……」
「嫌だ」
「アンタにこんなことをする権利はない」
「あぁ、わかっている」
「だったらさっさと離せ」
「嫌だ。それはできない」
「――ガキか、アンタは」
「それでもだ。君を行かせたくない」

痛みに顔をゆがめながらも睨みつけてくる。バルフレアは何よりも自由を好む。束縛されることや干渉されることももちろん、何より力で押さえつけられることを一番嫌う。今のバッシュの状況が一番反発されることはわかっていたがそれでも掴んで手を緩めることが出来なかった。

「行かせたくない」
「それはアンタの都合だ。俺の邪魔をするな」
「わかってる。だが嫉妬で狂いそうだ」
「…………」
「彼がただの知り合いだとうことはわかっている。だが君が彼の歌声を綺麗だといった時から感情が自分でも制御できない。身勝手だと言われようと、例え歌声といえど君の心を掴む者の所に行かせたくない――行かせない」

掴んだ腕の抵抗がふっと弱まる。睨みつけるヘイゼルグリーンの強さは変わらなかったが、剣呑さと拒絶はなりを潜めていた。そうして黙ったまま、珍しく茶化すことも笑みを浮かべることもなくただじっとバッシュの瞳を覗きこんでくる。

「――バルフレア?」
「……アンタ、筋金入りの馬鹿だろう?」
「ん?」
「そんでもって単純で天然だ」

何がどうなっているのかわからずに呆気に取られているバッシュを余所に、そう言うとバルフレアは弾けるように笑い出した。

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不便になってく心・前 -バシュバル-

最初は何だったか思い出すのも難しい。

多分些細なことだったに違いない。昼間の戦闘でモルボルに臭い息をかけられたこととか、騒いでいたヴァンにぶつかられて服が汚れたこととか、宿の食事が塩辛過ぎたこととか、きっとそんなことの積み重ねだったのだろう。だから出来るだけ刺激しないようにしていたのだが、残念ながら機嫌を損ねている時のバルフレアの地雷を避けるのは困難を極める。

気に入らないことがあるから怒りを向けるのではない。怒りを向けたいから気に入らないことを探しているのだ。そしてバルフレアにかかればバッシュの「気に入らないところ」を見つけるのは容易い。何しろ「気に入らないものが服を着て歩いている」状態らしいのだから。

「だいたいなんでアンタはいい年してハーフパンツなんか履いてるんだ」
「いや、これはこれで動きやすいのだが」
「しかも服のデザインが左右非対称だ」
「うむ。なかなかおしゃれだと思うのだが」
「最悪だな」
「そうかね?」
「色使いもサイテーだ」

などと言い合っているうちはまだ良かった。いつものことだ。そんなことで本気で怒るほど若くはないし、バルフレアの悪口は一種のコミュニケーションだ。軽口にからかいを含ませることは多々あるが、感情を込めて言葉を発するのはある程度信頼している証拠でもある。
普段他の仲間がいるところでは(フランは例外だが)そんな表情は見せず、バッシュの前だけでは隠さない。そのことに少なからぬ優越感と満足感を覚えてもいる。他者に見せようとしない一面を自分が知っているということは、それだけで満たされ、怒鳴り声ですら心地良く響いてくるのだ。

だがそれがまずかった。
神妙な表情を作っていたはずがついつい表情が緩んでしまったらしい。バルフレアはそれを馬鹿にされたと取ったようだった。

「何がおかしい!」
「いや、そうではないのだが……」
「あぁ、あんたはいつでも口では謝っておきながら本当は少しも悪いなんて思っちゃいないんだろうよ」
「違うのだ、バルフレア」
「煩い、触るな!」
「バルフレア――」
「…………やってられねぇ。酒でも飲み直してくる」

バッシュの手を乱暴に振り払うと、バルフレアは大股で横をすり抜けて部屋を出て行こうとした。
そしてノブに手をかけて、あぁ、と何かを思い出したように呟くと振り返り、にやりと口元だけで笑った。ヘイゼルグリーンの瞳は一欠けらも笑いを含んではいない。

「今ならまだ『アイツ』に会えるかもしれないな」

それがただの嫌がらせの言葉であるとわかりつつも理性の鎖が外れるのがわかった。


極悪と知りつつ続いたりする。サイテーだなぁ。

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結局貴方に -ヴァンバル-

復帰一発目はヴァンバルで!バシュバルと悩んだけど、新年の甘さ的にはこっちの方が良いかなぁと。どうやら今年も甘々SSが大量増殖しそうな予感です。
バシュバルは明日……書けるといいなぁ(笑)。でも実はTODを書きたくてたまらないんだ。ディムスタ。さくっと何本か書いてサーチに登録しようかしら。



「何だよ、俺が悪いってのかよ」

何度目になるかわからない呟きを、ぶつける相手のいない静かな空間に向かって投げつける。
温暖な地域ではあったが季節がら夜は寒いぐらいに冷え込んでいて、ゆっくりと吹き抜けていく風の冷たさに身体がぶるっと震える。ヴァンは寒さを紛らわすように身体を縮めて膝を抱えたが、自分の格好が寂しさゆえに拗ねている子供の雰囲気と不覚にも重なってしまい、一人むっとしてしまった。

自分が悪いのだ、ということをわからないほど子供ではない。けれどすぐに謝れるほど子供でもない。いや、実際はすぐに謝ったのだ。バルフレアは気難しいし地雷がどこにあるのかわからないような性格だが、それでも意味もなく怒ったりはしない。
きっかけは宿の部屋。久しぶりの二人部屋なのにバルフレアが、まったくヴァンの方を見ようともしないでシュトラールの設計図とにらめっこをしていたからだ。そんなことは日常茶飯事で慣れていることだったが、それでも設計図の上を滑っていく細長い指を見ていると、テーブルの上に広げられた薄い紙にですら嫉妬してしまいそうだった。

だから考え事をしている時に邪魔をされるのをバルフレアが極端に嫌うことを知っていたけど、少しでも自分の方を向いて欲しくて設計図を奪い取った。それだけだったのだが――。

「そりゃぁ、悪いけどさ」

その時にティーポットを引っ掛けて派手に倒して、設計図を紅茶まみれにしたのだ。しかも運の悪いことにバルフレアが書き足したまだ乾いていない部分をだったので、紅茶とインクが一瞬で混じって広範囲に渡って判読不能な状況になってしまったのだ。

慌てて謝ったけどバルフレアの怒りが収まるはずはなく「出て行け!」と言われて勢いで飛び出してきてしまったのだ。

「謝ったじゃないか……」
「ほー『うわ、ごめん』がおまえの謝る、か」
「謝ってるじゃんか。それなのにしつこいし……」
「そうか、俺の2時間はその程度だと思っているのか」
「だって……って……えぇ?!」

会話が成立しているおかしさにようやく気づいて顔を上げると、座っているヴァンを高い位置から見下ろしている整った顔にぶつかった。

「い、いつから?!」
「『何だよ、俺が悪いってのかよ』の直後ぐらいだな」
「最初っからじゃないか!」
「おまえが独り言を馬鹿みたいにでかい声で言ってるからだろうが」
「そ、そうかもしれないけど――」

言葉を続けられずに口をつぐむ。まともの顔を見ているのが恥ずかしかったし怖かった。馬鹿で手間のかかる子供だと、そう呆れられているのだろうから。

答えを探すように視線を迷わせていたが、月明かりで出来たバルフレアの影が自分の頬に掛かる。バルフレアは月が浮かぶ空の彼方を見ていた。夜の闇に隠された横顔にどのような表情が宿っていたのかをはっきりと見て取ることは出来ない。けれど口元が少しだけ緩んで、

「帰るぞ」

当たり前のように短く言い捨てて、視線を向けることも手を差し伸べることもなくさっさと宿の方へと歩みだした。

「――うん!」

慌てて立ち上がってヴァンは後を追う。バルフレアの声にも背中にも確かな優しさなど浮かんでなかったけれど、確かにそれは温かかったのだ。

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二次創作ぶっちゃけバトン

まったくオンできなかったので時間があいてしまいましたが、バトンに答えたいと思います。「二次創作ぶっちゃけバトン」です。答えるのもおこがましいかなぁと感じながら、調子に乗って色々書いて見ました。
Hさん、残念ながら日記をストーカーしてるので見ましたよー(日がずれてしまいましたが)。

興味のある方だけ続きを読むよりどうぞ。


そうそう、休みの間にTODは裏ボスも撃破しました。もちろんノーマルモード。強くて一瞬でやられる相手でしたが、実は単独撃破の方が簡単ということに途中で気づきました。

スタン・ルーティ・ジョニー・コングマン(withなりきりジョニー)でスタン操作。アクセサリはバトルガントレット、キュア、フラッシュ。
最初は普通に皆で攻撃して、仲間がやられたら完全放置。最終的にはスタンでの一騎撃ち。攻撃は全てフラッシュの無敵で避け、相手の防御は剛召来で崩し、崩れれば技→Lv3ブラストキャリバーの繰り返しで簡単に倒せました。すごく美しくない戦い方でしたが。
まぁ今年も管理人は何の成長もしていないということです。

そんな訳でバトン回答をどうぞ→
え? SS? ……あ、明日こそ(汗汗汗)。

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新しい夜明 -FF3-

明けましておめでとうございます。
旧年中は色々と暖かい声援を含めたくさん交流していただきありがとうございました。自分の萌えに燃えて好き勝手に突き進んでいるサイトですが、お暇な時の時間潰しにでもちょくちょく覗いてやってくださると泣いて喜びます。どうしようもない管理人ですがこれからも宜しくお願い致します。

今日はFF3からルーネス×イングズで新年SSを。



旅の疲れから夢も見ない深い眠りに落ちていたはずだったが、小さな空気の流れがふっと頬を撫でていくのを感じた。

普段なら目を覚ますどころか意識の端にも触れないような弱い感触。けれど気のせいなどではなく確実に感覚を揺り起こす気配。
イングズはそっと瞳を開け、暫し目の前の闇をじっと見つめる。
テントの中は完全な闇という訳ではなかったが、それでも寝起きの瞳が周りの状況を把握するには時間が必要だった。

辺りは薄明るさに包まれているようだった。どうやら深夜という訳ではなく、もうすぐ夜が明けようとしている時間帯のようだ。辺りには静けさがなみなみと注がれていて、世界の全てが登り来る太陽を厳かに待っているかのようだ。

―――ルーネスは?

視線をぐるりと巡らせて、昨晩隣で眠りについたはずの銀の髪がそこにないことに気付く。ならば先程感じた僅かな気配はルーネスのものだったのかもしれない。ルーネスは黙って一人テントを抜け出すことが何度かあった。
抜け出して何をしているのかと何度か後をついていったことはあったが、毎回テントの近くでじっと空を見つめているだけだった。その姿がとても侵しがたい清廉さを称えていて、覗き見ることに罪悪感を覚えずにはいられなくて、それ以来後をついていくことはやめていた。

いつもならここで目を閉じて朝を待つのだ。ルーネスの一人の時間を邪魔することに躊躇いがあるし、この辺りは魔物も少なく危険はほとんどない。追い掛けて行かなければならない理由も、追い掛けていきたいと思う理由もない――はずなのだ。

「…………」

いくつかの言い訳を心の中で繰り返して、けれど感情は理性や理屈よりも素直で強い。眠りに戻るには目が覚めすぎていて、じっとしているにはざわめきが大きすぎる。
溜め息を一つ。
それがイングズが自分の気持に流されるために必要な儀式だった。

銀の髪を探す必要はなかった。テントを出たすぐ目の前の岩の上に片足を立て座っているルーネスの姿が目に入った。
緩やかで少しだけ肌寒い風に心地良さげに髪を揺らしながら、じっと明るさを増してくる東の空に顔を向けている。

「なんだ、目が覚めたのか?」
「――お前こそ。いつから起きてた?」
「ついさっきさ。気付いてただろう? 今日も無視されるのかと思った」
「べ、別にいつも無視してる訳では……」
「はははっ。わかってるって」

ルーネスはそう笑いながらいつものように人を食ったような瞳で見つめてくる。悪いことをしていたつもりはないが気付かれていたのだと指摘されると気恥ずかしさが込み上げてくる。それがルーネスのやり方だとわかっていても。

「――起こしたか?」
「いや。何となく今日は目が覚めかかっていた」
「ふーん。まぁ今日は特別な朝日が拝めるから、ちょうど良かったんじゃないか?」
「特別?」
「そ、特別。世界のためって頑張りすぎてると忘れてるかもしれないけどな」

悪戯っぽくアッシュグレイの瞳が細められる。何のことだ、と聞き返す前にルーネスは人指し指を口の前に立ててシーっと言い、そのまま視線を先ほどまで見ていた東の空へと戻した。
仄かに明るさを増してくるルーネスの頬。鈍い銀色の髪に少しずつ明るさが注ぎこまれて光を産み出してくる。
ルーネスはイングズに「金の髪が太陽のようで綺麗だ」と恥ずかしげもなく口にするが、実はイングズもルーネスに対してそう感じていた。昼の眩しい太陽ではなく夜明けの、淡くけれど矢のように届く光のように美しい髪だと。

「ほら、見ろよ」
「――――あぁ、綺麗だ……」
「今年最初の日の出だ」
「え?」
「忘れてただろう? 今日からメデタク新年だってこと」

言われても、本当に今日がその日だったかすら思い出せなかった。世界を無にかえさないために戦う日々の中でそんなことを考えることもなかった。
それは重要なことではなさそうで、でもきっと一番大切なことなのだろうと実感する。目の前で光に照らされていく世界の美しさを目にしてしまうと。

「綺麗だな――」

何がとはいわなかったけれど、ルーネスが笑いながら「当然だろ」と言ったということは全てばれていたのかもしれない。

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2006年12月 | ARCHIVE-SELECT | 2007年02月

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